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奈良美智さん、ヒルマ・アフ・クリントの絵画について教えてください。
ART

奈良美智さん、ヒルマ・アフ・クリントの絵画について教えてください。

| Art | casabrutus.com | photo_Mie Morimoto   text_Yoshio Suzuki   editor_Keiko Kusano

東京・竹橋の〈東京国立近代美術館〉で開催中の『ヒルマ・アフ・クリント展』は、スウェーデン出身の画家アフ・クリントのアジア初となる大回顧展。半世紀以上前に亡くなった彼女ですが、近年、抽象絵画の先駆者として注目されています。彼女の絵について、美術ジャーナリストの鈴木芳雄が現代美術家の奈良美智さんに話を聞きました。

高さ3.2m、幅約2.4mの巨大な絵画シリーズ〈10の最大物〉の一枚に対峙する奈良美智。《10の最大物、グループIV、No.5、成人期》 1907年、テンペラ・紙(キャンバスに貼付)、ヒルマ・アフ・クリント財団蔵。
高さ3.2m、幅約2.4mの巨大な絵画シリーズ〈10の最大物〉の一枚に対峙する奈良美智。《10の最大物、グループIV、No.5、成人期》 1907年、テンペラ・紙(キャンバスに貼付)、ヒルマ・アフ・クリント財団蔵。
──奈良さんは2019年にニューヨークの〈グッゲンハイム美術館〉で『Hilma af Klint: Paintings for the Future(ヒルマ・アフ・クリント:未来のための絵画)』を観ているんですよね?

そのとき、初めて見たんです。名前も知らなかった。たまたまニューヨークにいて、雑誌で見つけて、これ行こうって思いました。実際に見て一番びっくりしたのが10枚の大きな絵のシリーズ(〈10の最大物〉)。衝撃的でした。まずその空間。今回の日本の展示と比べるとすごく明るい壁での展示で、なにより大きさが際立っていて、まるで瞑想空間に入っているような感じでした。
〈10の最大物〉展示風景。〈10の最大物〉は10点の巨大な絵画で構成されているが、それらはわずか2ヵ月のうちに描き上げられた。左から《10の最大物、グループIV、No.4、青年期》、 《10の最大物、グループIV、No.3、青年期》、《10の最大物、グループIV、No.2、幼年期》、《10の最大物、グループIV、No.1、幼年期》、すべて1907年、テンペラ・紙(キャンバスに貼付)、ヒルマ・アフ・クリント財団蔵。
〈10の最大物〉展示風景。〈10の最大物〉は10点の巨大な絵画で構成されているが、それらはわずか2ヵ月のうちに描き上げられた。左から《10の最大物、グループIV、No.4、青年期》、 《10の最大物、グループIV、No.3、青年期》、《10の最大物、グループIV、No.2、幼年期》、《10の最大物、グループIV、No.1、幼年期》、すべて1907年、テンペラ・紙(キャンバスに貼付)、ヒルマ・アフ・クリント財団蔵。
なんの予備知識もなく、そういうところに放り込まれて。色彩の衝撃、幾何学的でもあり、有機的な要素もあり……そういうことがすべて体験として残っています。絵画鑑賞というよりも、寺院のような空間の中に自分が没入するみたいな。それまで感じたことのない体験でした。たとえば、(フランスの)ヴァンスにあるマティスの〈ロザリオ礼拝堂〉で感じるような美術的なものとはまったく違う、それこそ修行道場じゃないけど、瞑想空間というか。美術でもなく宗教でもなく、スピリチュアルな感じがしました。自分はそういう感覚の鋭い人間だとは思わないけれど、なんか、ビンビン来るっていうか。
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